会社を設立するにあたって改めて「会社の目的」について考えた・・・
こんにちは。
はなひ堂新井です。
会社を設立するにあたって提出する用紙に、「会社の目的」というものを記入する欄がありました。

社名や住所など、事実だけを淡々と記入していく用紙の中にある唯一異様な記入欄で、何を書いてもよさそうな気がします。
突然の項目に困りました。自由度が高すぎて困る。「お客様へサービスを提供する」や「社会を幸福にする」等、なんでもいいような気もします。いっそのこと「みんなが食べるのに困らない程度に運営する」とでも書いておこうか。
そう思って窓口の人に聞いてみると、「具体的な事業内容でなければ受付られません」とのこと。なるほど具体的な事業内容か。
だったら「目的」ではないような気もしますが、気を取り直して事業内容を書こうと思いながら他社の記入例を見てみようとブラウザをポチポチしていると、「金融機関が融資の際に審査の判断材料として使用する」というような一文を発見します。
当社は今のところ融資を受ける必要はないので、差し当たっては関係がないのですが、もしも今後お金を借りることになった際に私が適当に書いたせいで審査が通らなかったらと思うと…。
そもそも一体なぜこんなものが融資の判断材料となるのか不思議ですが、とにかく妻や同業者に相談し、なおかつ数日ほど熟考したのちに、その欄には恐る恐る「古本、古物の買取、販売」のように書きました。
「古本、古物の買取、販売」は「昔あった今は必要ではないかもしれないものを蘇らせること」
そんな「会社の目的」ですが(^_^;)、「古本、古物の買取り、販売」を私なりにかみ砕くと、それは「昔あった今は必要ではないかもしれないものを蘇らせること」です。
本をお売りいただくお客様からは「必要としている方のところに届いて欲しい」という言葉を一番多くいただきます。
当社は何とか次の方に届けようと毎日、本棚と格闘しています。
とはいえ全ての本を届けることはできません。
確実に需要があるとわかる本と一緒に、必要かどうかわからない本も本棚には並べられます。
5年も本棚で眠っていて、もうずっと売れないのかと思っていた本が突然売れていったり、スタッフが商品化した本を見て自分なら本棚に並べないなと思ったものが次の日に売れていってしまったりと、びっくりする経験を数多くしてきました。
必要でないかもしれないものは、誰かが必要とするものかもしれない。だからこそ必要でないかもしれないものを蘇らせることは、絶対に必要なことだと思っています。
さらに話を大きく言うと、昨今、自動運転の実現可能性が語られています。そしてその可能性は年々高まっていき、数年後には実現してしまいそうな気配さえ漂っています。
私としては自動運転はぜひ実現して欲しいのですが、もしかしたら会社の目的として考えると別の手段を考えるべきなのかもしれないとも思います。
「昔あった今は必要でないかもしれないものを蘇らせる」ならば、最初に考えるべきなのは馬かもしれません。むしろ馬をリビルドする可能性に賭けていく…。こう書いていると何やら危険思想のような気もしてきました(^_^;)。
私を含めて全従業員数が8名という少ない会社ですが、当社はその目的をもって必要でないかもしれない本について考えていきたいと思っています。
2021年2月23日 古本屋業務の話